「期待された通りの成果に人は近づく」というのは心理学の教えです。これをピグマリオン効果といいます。このピグマリオン効果は、コーチにとって利用する価値は高いと考えています。
私たちコーチも誰かに期待されると、落ち込んでいた気分に高まりを感じたり、急に自分の行動や発言に自信を持てたりするものです。だからこそコーチはこの効果を認識し、活用するべきだと考えています。
期待すれば、そうなる
ピグマリオン効果は、子どもの自主性を引き出します。とくべつな能力は無くても、コーチの期待を受けた子どもは、気分を高揚させ活動的になり、得意気に自慢するようにもなるでしょう。
コーチの期待は思わぬ変化を生み、知らずのうちに子ども自らコーチの期待へ近づく努力をはじめます。
心を動かす特別な期待
「やんちゃで言うことを聞かない子への、特別なお願いごと」「なにか光るポイントを見つけ、その一点への評価」「偶然できたことを少し大げさに褒める」など。
その子だけに届ける特別な期待は、心を大きく動かす可能性があります。そしてこの効果は、こと細かな指導をくり返すより、さらに高い効果を生むと考えています。
ただ、子どもができることに限界はあります。期待するとしても、その限界をはるかに越えるようでは、逆効果となりかねないので注意も必要でしょう。
期待しないゴーレム効果
なんの期待も与えなければ、効果を得ないばかりか、もとの状態より悪くなるという考え方もあります。これをゴーレム効果と言うそうです。
このゴーレム効果は発見しにくく、子どもを困惑させ孤立させてしまう強い力があります。
結果への評価に偏るコーチが増えたと感じます。子どもの成長への期待を示さないコーチも増えたと感じます。もしかすると、このゴーレム効果はいずれの指導環境にも潜む最重要課題と考えるべきものかもしれません。
嘘も方便
「嘘も方便」という言葉はまんざらでもない気がします。そうなることを期待し「きっとそうなるよ」と伝えることで効果を得られるのであれば、それは嬉しいことではないでしょうか。上手く期待を示すことができれば、多くの子どもの成長を促すことができます。このピグマリオン効果を意識することで、今の指導技術にプラスの効果をもたらすでしょう。