「なぜ?」と問われて答えに窮したことや、答えられなかった経験をしたことはありませんか?
このなぜ?という問いかけは、相手からの攻撃と捉え、冷静に答えられなくなる体の反応を引き起こします。
今回このなぜ?という問いに対して、冷静に答えられなくなるメカニズムを、じっさいに脳内で起こっている反応をもとに説明します。
なぜ?は危険信号になることも
なぜ?と問われると、それを危険信号と捉えてしまうことがあります。そしてこの危険信号に対して、逃げるか戦うか、または止まるかの判断に迫られます。
危険信号に対する反応は、過去の記憶も関係します。だれかの質問や会話によって追い込まれた経験がある人ほど、なぜ?を危険信号と捉えます。
危険信号を脳が感知すると、コルチゾールという物質を分泌し、すべてのエネルギーを一箇所に集めて防御体制を敷きます。このとき脳内では、高レベルの働きをする場所の活動は抑えられ、危険信号への備えを優先させます。
高レベルの働きが抑えされることで、冷静な思考回路が機能しなくなり、冷静に考え、答えることを困難にさせます。
これが冷静に答えられなくなるメカニズムの正体です。
忖度した答え
危険信号の強さは、ヒエラルキー的な立場関係にあるほど強まると考えています。
相手を怒らせない答えかたや内容だったり、その場の雰囲気に反しないような、お利口な返事と考えられるものをたくさん聞いてきました。
もしこのヒエラルキー的関係が、コーチと選手の間に存在する場合、コーチの問いへの答えは、そのほとんどが選手の忖度によって作られた答えかもしれません。
だとすると、それは狭められた思考から生まれた答えであり、本人の主張にはなっていないかもしれません。
問いかたを整理してみる
ふだんの指導場面で使う問いを、いちど自分にしてみてください。そうすることで、問いの前に整理する習慣が身につきます。事前に問いかたを整理する習慣を身につければ、危険信号を与えない問いができるようになり、忖度のない答えを引き出すコツがわかってくるはずです。