指導で使っている言葉は、説得なのかそれとも納得なのか。
ある本に、説得とは「違った意見の持ち主を、言葉で説き伏せること」とありました。そして、納得とは「他人の考えや行動などを十分に理解して得心すること」と書かれています。
説得と納得のちがいを理解することは、コーチの意図をより明確に伝えるための、ちょっとしたヒントになるかもしれません。
説得と納得
説得と納得について書かれた一文を引用します。
読者にとって説得とは「されるもの」である。そして納得とは「するもの」である。前者は不本意な受動であり、後者は能動である。
読者を説得してはいけない。いわんや、読者を論破してやろうなどと考えてはいけない。文章に必要なのは、、そして読者が求めているのは、、説得力ではなく「納得感」なのだ。
取材・執筆・推敲 古賀史健 著
この引用文の「読者」を「選手」へ、「文章」を「指導」へ置き換えてみます。
選手にとって説得とは「されるもの」である。そして納得とは「するもの」である。前者は不本意な受動であり、後者は能動である。
選手を説得してはいけない。いわんや、選手を論破してやろうなどと考えてはいけない。指導に必要なのは、そして選手が求めているのは、説得力ではなく「納得感」なのだ。
となります。なんとなく言いたいことを理解してもらえると思います。
納得させるには課題の共有が必要
![](https://zerocoach.org/wp-content/uploads/2024/04/share-2482016_1280-2-1024x576.webp)
また、相手(選手)を納得させるために必要なのは、課題を共有することだと書かれています。この課題の共有についても、同じ本からの一文を引用させてもらいました。ここも読者を選手に置き換えて読んでみてください。
課題が共有されないまま語られる話は、他人ごとであり、説得となる。課題が共有されてこそ、読者にとっての自分ごととなり、納得の可能性が生まれていく。
取材・執筆・推敲 古賀史健 著
解決のヒントや具体例の提示は、課題の共有には有効となることが分かります。課題が共有されていれば、選手の納得が得られ、より能動的な姿勢を引き出せるようになるかもしれません。
説得から納得へ
自分の指導をすこし振り返れば、説得か納得かを知ることができます。納得がいいとしても、すべて納得させるのには、少し無理があるはずです。だけど、納得させる指導に近づくことができれば、結果にも自ずと違いが現れてくると考えています。
いちど自分の指導を分析してみてください。説得から納得へ移り変わっていくことで、その場の風景にも違いが現れます。